エバンスとショコラ

木枯らしが吹いて古いストーブに火を入れる季節になった。

暖かくなった部屋でブランデーのお湯割り片手に聴きたくなるアルバムがビル・エバンスの「From Left to Right」

私にこのアルバムを教えてくれたのは、年配のとてもお洒落な女性だった。

千倉に別荘を持っていたその方は週末必ずカウンターにやって来た。都会の空気を身にまとい。

そして、いつも私の知らない美味しい物や銀座、京都などの話を聞かせてくれた。話ばかりでなく彼女のプジョーの自転車のカゴには美味しい御土産がいつも積まれていた。

時々別荘にも招待していただき、手作りのご馳走で持て成してくれることもしばしば。メイプルの家具で統一したインテリアもとても素敵だった。

そんなとても楽しい時間を私に運んでくれた人だったが色々な事情で千倉を引き払うことになってしまった。最後に大切な置き土産を残して・・

それはサンドカフェのデザートでも特にファンが多い「ショコラ(フォンダン)」の彼女のオリジナルレシピだった。

ピアノとエレクトリックピアノを交互に弾き分けるエバンス。ボサノバなどの曲も入っているお気に入りのアルバムだ。このアルバムを聴く度にとても良くしてくれたあの方を思い出す。あれから何年になるかな・・
ピアノとエレクトリックピアノを交互に弾き分けるエバンス。ボサノバなどの曲も入っているお気に入りのアルバムだ。このアルバムを聴く度にとても良くしてくれたあの方を思い出す。あれから何年になるかな・・

歩きました

バージンロードを歩いた。長女と初めて腕を組み。

雨の土曜日の結婚式。私たちの時も大雨だったことが甦る。

挙式から披露宴へと続く中、長女たちがこつこつ時間をかけて準備していたこの日への思いが随所に感じられ、二人から幸福感に満ちた時間を逆にプレゼントされたようで私はずっと幸せな気分に浸っていた。

今まで父親としてあまり娘に手をかけてあげられなかった私に感謝の言葉を送ってくれ感激。その分はこれから少しづつ挽回していきたいと思う。

一番反抗期がきつかった長女は保育士の仕事をしながらいつの間にか大人になっていた。そして優しく男らしい伴侶を得ていた。

私が三人の娘たちに願うことはひとつ「幸せな結婚をして欲しい」只、それだけ。一人目は無事そのドアを開けた。

深く心に刻まれた一日。皆さんありがとうございました。

ドレスを踏んだらいけないと思ったら、最初の一歩は緊張してちょっとよろけた(笑)。
ドレスを踏んだらいけないと思ったら、最初の一歩は緊張してちょっとよろけた(笑)。

RYU’S CUBAN NIGHT

村上龍氏がプロデュースするキューバ音楽のコンサート(品川プリンスのステラボール)に行きたいと思ってから4~5年経っていた。思ったらすぐ行動と、やっと最近思えるようになった。

龍氏は舞台挨拶で「キューバ音楽に魅せられライブを始めてもう20年。周囲の人からは情熱ですよね!と言われるが実は成り行きでやってるんです」言っていた。面白い。

「カンブリア宮殿に出たカリスマ経営者の方たちもかなり成り行きなんです」と。私も成り行きとは導かれる事だと思っている。もちろん全てがそうではないが、導かれる事に色々な要素が加わり成果を残すのだと感じる。導かれることも才能だろう。

このキューバンナイトにはキューバ最高峰のミュージシャンが勢ぞろいする。二人のディーバ、タニアとハイラ。歌もボディーもグラマラスな女神たち。バックも7人編成で、ピアノ、ベース、ドラム、コンガ、そして3人のホーンの圧倒的アンサンブル。
最高に興奮したラテンの熱い夜だった。本当に素晴らしいライブに導かれて良かった。来年は是非皆さんも参加しませんか!

舞台の前のスタンディングスペースは料金も安く踊れます。来年はスタンディングにしよう。興奮して写真もブレまくり。
舞台の前のスタンディングスペースは料金も安く踊れます。来年はスタンディングにしよう。興奮して写真もブレまくり。

眺めのいいBAR

どうしても聴きたかったライブがあり東京に行って来た。チョット早めに着いたので、まずはライブの下地作り(笑)と、気に入りのバーに向かった。

溜池山王にあるバー「SWANKY」は午後4時半からやっている。9階にあるので眺めが良い。カクテルも美味しい。シガーもある。いい事尽くめだ。

まずは腹ごしらえとカツサンドをオーダーした。ここのカツサンドは本当に旨い。それに合わせるのは「ブラックベルベット」。ギネスとシャンパンのカクテルだ。かの司馬遼太郎氏はこのカクテルをアイルランドの霧の味わいと言ったらしい。

暮れてゆく空の下にはハイウェイ、そしてテールランプの群れ。

私はそれを見下ろしながら「サイドカー」を飲んでいる。当然シガーも。
店には私一人だけ。時間から開放されたような最高のひと時だった。

この窓からの眺めがニューヨークみたいと言うお客が多いらしい。
この窓からの眺めがニューヨークみたいと言うお客が多いらしい。
調度品も粋で洒落ている。カウンターのバックには金子国義氏の大きな絵が描かれている。シェフの格好をした動物たちの絵だ。バーは男の動物園ですからとバーテンダーから聞いた。
調度品も粋で洒落ている。カウンターのバックには金子国義氏の大きな絵が描かれている。シェフの格好をした動物たちの絵だ。バーは男の動物園ですからとバーテンダーから聞いた。

アナログシステム

私の部屋に新たに加わったオーディオ、ユニゾン・リサーチの真空管アンプ(Italy)とダイナコのスピーカー(Denmark)。

憧れはあったが、今まで真空管アンプなどのオーディオ機器には自分からはあえて接近しなかった。TELEFUNKENの真空管ラジオにi podから音を飛ばし楽しんでいた。それはそれで良しと自分では納得していた。

ある日一人の紳士が現れ、私が入り口付近で遊んでいた領域に専門的知識を投げかけてくれるようになった。ごく自然に。それはクラッシック音楽やJAZZでありカメラでありオーディオであった。

それらは、男の趣味性の強いジャンルと言える。

その紳士のご好意で、今回私好みのアンプとスピーカーを譲って頂くことになった。真空管アンプへの憧憬が現実に・・

久々にプレーヤーをつなぎレコードを引っ張り出して聴いてみる。かつて自分の部屋では聴いたことの無い音質に感動する。うまくいえないが音に奥行きがあるというか、立体的に聞こえてくる。

いつもCDやMP3で愛聴している音がより体に染み込む感じだ。楽しんでいる自分をもう一人の自分が俯瞰して楽しむ事を「自娯」と言う。

ひとつの出会いから憧れが現実に変わる事を実感している。いや、他力本願な私はいつかこんな状況がやって来やしないかと心のどこかで気長に待っていたのかも知れない。

UNISON RESEARCHのShimply Two(90年代)。真空管の灯りとウッドが温かい。
UNISON RESEARCHのShimply Two(90年代)。真空管の灯りとウッドが温かい。
DYNACOの70年代のスピーカーは想像以上の良き音で鳴る。麻のネットも和室に馴染む。
DYNACOの70年代のスピーカーは想像以上の良き音で鳴る。麻のネットも和室に馴染む。

ページ冒頭へ戻る