鎌倉へ(1)

今年二回目の鎌倉は、一泊二日の小旅行気分。

以前よりお招き頂いていたMIKAMI夫妻のお宅に伺う事と、お薦めのショップなどを巡る為だ。

二年ほど前に都内から鎌倉に移住されたMIKAMI夫妻の暮らしは羨ましい程に優雅であった。

キッチンスペースの上の超大型の天窓からは陽光が降り注ぎ、雲が流れる様もダイナミックだ。両サイドは窓を設けずプライベートを保ちながらも天窓から見える空の変化と屋上の緩やかに傾斜したデッキなどから、ご主人の「船のような家」という所以が伺える。

骨董歴の長いご主人のコレクションがインテリア洋書や古書の間に絶妙に配置された作り付けの棚を見れば、その審美眼の程が伝わってくる。しかも心地良く。

その様は流石としか言いようが無く且ついつまでもそこに居たい気分になってしまうのは熱烈歓迎してくれた二匹の可愛いワンちゃんとご夫妻のおおらかさに他ならない。

とにかく全てがフォトジェニックなお住まいなのであった。

天窓の陽光を浴びながらキッチンに立つMIKAMI夫妻。ご主人はモヒートを、奥様はイチジクのコンポートを作って下さった。キッチンカウンターには多肉系植物が並ぶ。
天窓の陽光を浴びながらキッチンに立つMIKAMI夫妻。ご主人はモヒートを、奥様はイチジクのコンポートを作って下さった。キッチンカウンターには多肉系植物が並ぶ。
大きなオールドパインのテーブルの向こうはインテリア誌に登場してもおかしくない程見事にディスプレイされた壁面が。Days Galleryで求めて頂いたアンティークも少なくないのは嬉しい限り。
大きなオールドパインのテーブルの向こうはインテリア誌に登場してもおかしくない程見事にディスプレイされた壁面が。Days Galleryで求めて頂いたアンティークも少なくないのは嬉しい限り。

北欧JAZZ

6月に入り、梅雨到来。

私の感覚では今年まだ2ヶ月か3ヶ月しか経っていない感じなのだが、現実は私の体内時計より2~3倍の速さで流れていってしまう。

だから子供の頃からの夢は、空を飛ぶことと時間をコントロール出来ることだった。(イマジネーションの遊びの中では可能だが。笑)

私は気候によって聴く音楽を変える。梅雨はちょっとネクラなジャズはいかがか。

北欧のピアニスト「Tord Gustavsen」。

私はいつも映画や音楽のソフトを提供してくれるディレッタントM氏とペンションオーナーN氏のおかげで自分のカテゴリー以外の映像や音に出会えるチャンスが多い。

このトルド・グスタフセンはM氏より頂いた。

私 「このネクラ感は日照時間の短さも関係あるのでは?」
M氏「当然、日照時間はメラトニンの分泌に作用しますから!」

ただ、ちょっとブルーな気分の時はお薦めしませんが。

そして、やがて梅雨が明ければ聴きたい音はラテンへと移行していく。

Tord Gustavsen Trio「Changing Places」他のアルバムも遜色ありません。
Tord Gustavsen Trio「Changing Places」他のアルバムも遜色ありません。

博物館へ行こう

東京駅がリニューアルされたが、その向かい側の東京中央郵便局も「KITTE」として生まれ変わった。モダニズム建築として貴重なその外観を一部残して。

その中の2・3階にオープンした「インター・メディア・テク(IMT)」は、日本では稀有なアートフルな博物館らしい。

東京大学が長年にわたり収集してきた大型動物の骨格標本や研究資料はトラック300台分にも及んだという。

それら学術標本を建築家やインテリアデザイナーを介さずキュレーターのセンスで展示しているところが憎い。コレクションを知り尽くした学芸員だからこそ出来るのだろう。

私も五感を刺激されに早くカオス溢れる博物館に行ってみたい。いや何回も行くでしょう!

展示物だけでなく空間も什器も素晴らしそう、しかも入場無料。エルデコとカーサブルータスにも大きく取り上げられていた。
展示物だけでなく空間も什器も素晴らしそう、しかも入場無料。エルデコとカーサブルータスにも大きく取り上げられていた。

Ball&Claw

アンティーク家具の「猫足」は良く知られているが、「ボール&クロウ」という鳥獣が玉を握っているデザインスタイルがある。

18世紀あたりのデザインモチーフらしいが、特にピアノ用のスツールはガラス玉を鉄の足でリアルに鷲づかみしており私の好きなスツールの一つである。

ひょっとするとこのガラスの玉は「地球」ではないかと感じさせる。古いヨーロッパの意匠にはそんな意志が反映されて居る物がありますよね。

ワイルド&シック、且つそんなパロディーを併せ持つスツールである。

ただ中々このタイプには出会えませんが・・

グルグル回して高さ調節も可能。Days GALLERY
グルグル回して高さ調節も可能。Days GALLERY

デスクライト

Anglepoise(アングルポイズ)というイギリスのデスクライトは実に使いやすい。

1930年代に誕生しデスクライトの原型といわれるだけあって、構造が人間の腕のメカニズムを応用しており、スプリングでスムーズに角度を調整できる。

70年以上経過し、黒い塗装がツヤ消しになってしまっているがその方が和室にはマッチする。

このAnglepoiseはフランスのGRAS、Jielde、ドイツのBAUHAUS系と並びデスクライトの傑作だと思う。

後ろの白い本は「世界で最も美しい書店」という写真集。駅舎や教会、劇場などを利用した書店に魅了されます。
後ろの白い本は「世界で最も美しい書店」という写真集。駅舎や教会、劇場などを利用した書店に魅了されます。

Tシャツとバンダナ

毎年ゴールデンウィークの少し前に合わせてTシャツを作る。

Tシャツのデザインをする時はパソコンでは無くいつも手書きです。アナログです。

天気が良ければTシャツが気持ち良い季節になりました。知っている方も多いと思いますが、カミさんは店では一年中Tシャツで通します。そう真冬もです!それに頭のバンダナが彼女の仕事スタイルです。

火の前に立つ時間が多いというのもあるんですけど、しかし・・寒がりな私には信じ難いことです。

良くお母さんと店に来る小学一年生のカワイイ女の子がいるんですが、その子は将来バンダナを頭にしてサンドでバイトしたいんだそうです。カミさんのスタイルに憧れているんだとか。ユニークな子だと思います。

思い出しましたが、カミさんと初めて千倉の海で出会ったときも彼女はTシャツにバンダナでした。

ずいぶん昔の話ですが・・

今年はこの2種類のデザインで行きます。「Deck Shoes」と「散歩カフェ」にあります。
今年はこの2種類のデザインで行きます。「Deck Shoes」と「散歩カフェ」にあります。

旨口

日本酒の蔵元などで甘口、辛口の他に「旨口」という言葉があるが、千倉館で三彦と飲んだ酒は正に旨口だった。

新潟の信彦が持ってきてくれた「亀の翁」は地元の信彦でも中々手に入らないらしい。何でも「亀の尾」という幻の米を三年がかりで復活させて醸造した酒で、その物語が「夏子の酒」という連続ドラマになったとの事。

四人なので一人一合だったが信彦が苦心して手に入れ、仲間のために持参してくれた気持ちが嬉しい。

無理を言って炉辺に持ち込ませてもらい、他のお客に見られないように密かに飲んだのでよけいに旨く感じたのは私だけか?(笑)

最近は旨い酒と美味しい肴があれば傍に女性は要りません。(ウソです)
最近は旨い酒と美味しい肴があれば傍に女性は要りません。(ウソです)

三彦との再会・千倉

学生時代の盟友たちと新潟で24年ぶりに再会したのが昨年冬。次回は千葉でとの約束を果たすべく三彦に招待状を送った。

そして先日、新潟の信彦、群馬の直彦、山梨の敏彦の三彦が千倉に集結した。サンドカフェで再会できるとは夢のようだ。

彼らはサザエカレーをリクエストしてくれ、私も気持ちを込めコーヒーを淹れた。

今回の宿は、和風旅館のリクエストもあり老舗の「千倉館」。地の新鮮な魚介を囲炉裏で炭火焼して三彦を持て成したかったのだ。

囲炉裏を囲み旧友と酌み交わす酒は格別だ。

長い時を経て、俺たちもようやく少し自由な時に身を委ねる余裕が出来たってことかな。

千倉館の離れにある洒落たバー「波助」にも浴衣で行って女の子を驚かしたかったが、既に知っていたらしく空振りに終わった。私もその後撃沈、カラオケまで辿りつけなかった。

次回、舞台は群馬の高崎に移る。

千倉館のファサード、ロビーそしてこの「波助」は日本を代表するインテリアデザイナー内田繁氏(スタジオ80)がリノベーションしたネオクラシックモダンな空間。
千倉館のファサード、ロビーそしてこの「波助」は日本を代表するインテリアデザイナー内田繁氏(スタジオ80)がリノベーションしたネオクラシックモダンな空間。
アワビ、サザエ、地魚を炭火で炙る。素材が良いのでシンプルに食したい!
アワビ、サザエ、地魚を炭火で炙る。素材が良いのでシンプルに食したい!

GREENS

台所の出窓には、最近カミさんがハマッている多肉植物が沢山。

今は亡き親父の趣味だった盆栽の小鉢にもサボテン科やアロエ科の植物が移植されていた。

一般的に多肉系は不精でも大丈夫な植物と言われているようだが、カミさんの感想だと種類によって置く場所の環境に結構左右されるそうだ。

いろいろ試行錯誤しながら可愛がっているようです。

私が最近嬉しかったのは、昨年植えた玄関のオリーブの鉢植えと庭のレモンから新しい芽が育ってきたことだ。両方とも何ヶ月も元気が無かったから大丈夫かと心配だった。

環境が変わり、そこに適応して行くのは生き物にとって試練なんですね。

新社会人、学生にとっても新たなスタートであり試練の始まりの季節です。

我が家はペットがいないので、カミさんの愛情はグリーンにのみ注がれます(笑)
我が家はペットがいないので、カミさんの愛情はグリーンにのみ注がれます(笑)

ギャラリーで昼食を

いつも「&R」というお洒落なフリーペーパーを送ってくれる習志野のギャラリー「林檎の木」に行って来ました。

ちょうど野田にある「イノセントガーデン」が「ボタニカルライフ」展を開催していました。植物好きのカミさんにはピッタリの企画でした。フランスのマリクレール・メゾンにも紹介された茨木伸恵さんという女性の陶芸家の作品も沢山並んでいました。あとやはり女性陶芸家の今井梨絵さんの陶器が良かった。

「林檎の木」は年内の展示会スケジュールがびっちり決まっており、6月1日と2日は佐倉の川村記念美術館で「アート&クラフトフェア・チバにわのわ」という大きなイベントもされるそう。土・日でなければ是非行きたいのだけれど・・残念。

アートやクラフトの分野も言うに及ばず女性の活躍が目立ちます。「ボタニカルライフ」展も次々に女性客が訪れ活況を呈していました。

出かけて見れば色々と収穫はあるもんですね。

ギャラリーの中は見事にボタニカルガーデンに。室内に土を入れるって大変ですよ!
ギャラリーの中は見事にボタニカルガーデンに。室内に土を入れるって大変ですよ!
公園を見下ろす眺めの良いテラスで玄米と野菜のランチを食べた。フレンチローストのコーヒーも美味しかった。
公園を見下ろす眺めの良いテラスで玄米と野菜のランチを食べた。フレンチローストのコーヒーも美味しかった。

関野ブルー

今日、私の家に一枚の青い絵がやって来た。

館山の画家、関野研一氏の描いた「La Mer」(6号)と題された油絵だ。3色に抽象化された海に小さく帆船が浮かんでいる。

関野氏の絵との出会いは10年ほど前、市内のホテルのギャラリーだった。青を基調にした南房総の海の風景画が数点展示されていた(墨絵も数点あった)。私は関野氏の青い絵に惹かれたが、その時はご縁が出来なかった。

月日は流れ、私は関野氏のアトリエを訪ねる機会を得た。そして今、念願の青い絵が家に置かれている。

この絵を自室で眺めていたら昔パリで活躍した二人の画家を思い浮かべていた。独特の美しい青で知られるイヴ・クライン、もう一人は自然の中に抽象を描いた画家の木村忠太。
作風は違えど、長くパリやモロッコに行き来されていた関野氏と不思議に重なり合う。

帰りに関野氏の好きだというジプシースウィングジャズの「ROMANE」のCDを頂いた。今夜はそのCDを聴きながら青に浸ろう。

最近惹かれている古い藍染の古布や刺し子。そのジャパンブルーの布の上に「関野ブルー」を・・・やっぱりブルーフリークなのかな?
最近惹かれている古い藍染の古布や刺し子。そのジャパンブルーの布の上に「関野ブルー」を・・・やっぱりブルーフリークなのかな?

脱力志向

千倉の波が良かった日、鴨川のカメラマン利蔵さんが何枚か写真を撮ってくれていた。水も綺麗でとても気持ちの良い波乗りが出来た日だった。

だが自分の写真を見て思う。

体に力が入り過ぎている。もっと脱力し、棒立ちのままボトムターンをしたい。両手もダラリと下げてね。アレックス・ノストのボトムターンのように。

アルはダンサーのように波に乗る。その比類なきスタイルは、まるで前衛舞踏家のようだ。

あと気になるロングボーダーはデーン・ピーターソンだ。デーンのライディングには起承転結がある。テイクオフしてからプルアウトするまでの間にストーリーがある。ハングテン、カットバック、そしてプルアウトのアクションがどれもスタイリッシュ。

オールドサーファーとしての理想はスキップ・フライ。10~13feetオーバーの板の上で彼はただ波に合わせてトリムするのみ。余分な動きは何も無い。ミニマリズムこそジジイのライディングの理想形だ。

この写真を見て,そんな新たな思いが沸いた。

当然、指先までも脱力しないとスタイリッシュジジイとは言えません(笑)
当然、指先までも脱力しないとスタイリッシュジジイとは言えません(笑)

West Coast Jazzの爽やかさ

サンドカフェのトイレの壁に一枚のLPレコードが飾ってある。

アート・ペッパーの「Surf Ride」という古いウエストコーストジャズのレコードジャケット。

このレコードジャケットを描いた人はサーファーなのだろうか?波の描き方がとてもイイ。

ロングボードの上で楽しげにバランスをとるビキニの女性がパシフィックジャズの軽快な感じを良く表現している。

アート・ペッパー以外にもバド・シャンク、チェット・ベーカー、ジェリー・マリガンなどが有名だが、コーヒーを飲みながら休日の午前に聞くジャズとしてはどれも適している。

アメリカでの暮らしが長かったという初老のヨットマンの方が時々カフェに来て下さるが、帰る前に必ず「俺の彼女に挨拶してくる」と言ってトイレに入る。

青春時代が蘇るのだろうか・・・そんな粋な方もいる。

ジョエル・チューダーの「LONGER」や「Sprout」などのサーフムービーに流れるモダンジャズはロングボーディングと良くマッチしている。
ジョエル・チューダーの「LONGER」や「Sprout」などのサーフムービーに流れるモダンジャズはロングボーディングと良くマッチしている。

fade-out感

還暦までは何とか波乗りを続けたいと思ってはいるが、近頃とみに体が動かなくなってきた。

冬場で水も冷たく、フルスーツにブーツという出で立ちもあるのだが、体がだんだん反応しなく成りつつあるのを実感してばかりいる。

息も切れる。気管が狭くなったかのような息苦しさに苛まれることもある。

いずれにしても無理は禁物のようだ。

カミさん共々、自分たちの体力に合った状況で波乗りを楽しもうと言う心境のこの頃である。

古いスクラップブックに貼ってあった一枚の切り抜き。うまく波に乗れなかったのか、体のどこか痛めたのか知らないが虚脱感が漂っている写真である。彼女にボードを持ってもらうとは・・・今の私には、その黄昏感は良くわかる。
古いスクラップブックに貼ってあった一枚の切り抜き。うまく波に乗れなかったのか、体のどこか痛めたのか知らないが虚脱感が漂っている写真である。彼女にボードを持ってもらうとは・・・今の私には、その黄昏感は良くわかる。

マスター

カウンターの中では空気のような存在になりたいと思う。

フワッとそこに流れる風のように存在し、空気と一体化している。

時々消え、でも必要な時にはフッと現れる。

気配があって、気配が無い。

そんな境地に遊べたら本望だ。

カウンターの壁のヘミングウェイ。ビールをグラスでなくビアマグで飲んでいるところが渋い。
カウンターの壁のヘミングウェイ。ビールをグラスでなくビアマグで飲んでいるところが渋い。

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