奇縁な画集

一年ほど前だったか、ある新聞記事が目に止まった。

それは中国・北宋時代の名画中の名画、李公麟の「五馬図」が80年振りに世に現れたとの事だった。

清朝末期の混乱で日本に持ち込まれたその名画は昭和天皇の即位記念で展示されてから忽然と姿を消してしまっていたらしい。

その間、色々な憶測が飛び交っていたというが今回あるコレクターが東京国立博物館に寄贈したとの記事だった。

新聞に載っていた細い線で描かれた馬の絵が妙に私の興味をソソりいつか見てみたいと思っていた・・

 

今年、家族で千倉に移住された出版社を営む羽鳥さん(2018年8月22日のブログ参照)とカフェで何気ない会話を交わしていると中国の馬の絵の画集を出版していると云う。

もしやと思い詳しく聞いて驚いた。

羽鳥書店から李公麟「五馬図」(原寸大)を出版していたのだった・・

名馬を皇帝に献上するため大陸の西方から引かれて来たのだろう事が人物の顔から計られる。
清朝皇帝など多くの落款が愛でられ宝として受け継がれてきた証となる。しかし80年もの間いったいどこの誰が所有していたのか?大変良い保存状態だったというが、ドラマチックな経緯も興味深い絵だ。
その大判の画集は今、私の書斎のM・デュシャンのポートレートの下に飾られている。ブックデザインも原研哉とこだわるのが羽鳥書店。

人生、奇縁や奇遇があるから面白い。

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