巨匠逝く

私が「インテリアデザイン」という言葉を意識したのは内田繁さんの影響だったと思います。

その内田さんとの出会いは浅井慎平師匠を介してでした。

今でも思い出します海岸美術館での「千倉デザインシンポジウム」

浅葉克己、三枝成彰、日比野克彦、松岡正剛とそうそうたる顔ぶれでした。

そして千倉デザイン都市構想とアルド・ロッシのホテル計画。

どちらも歴史の女神が微笑みませんでしたが内田さんの熱い想いは今でも鮮烈に覚えています。

紫綬褒章のパーティーも斬新でした。

ケイコ・リーや大倉正之介のライブ、竹の茶室、青竹の酒盃。

「デザインは特別なもののためでなく日常の暮らしを豊かにするのが基本です」とおっしゃっていました。

デザインは、用の美から派生するものですからね。

日本のインテリアデザインの開祖である内田繁さん。

まだ70代前半、とても残念です・・

出会いは千倉海岸。浅井さん50代、内田さん40代、私も30代と若かった。今から27〜8年前だろうか。

そして・・アートディレクターの渡邉かをるさん。

面識はありませんでしたが、あなたのセンスに私は勝手に憧れていました。

キリンラガービールのラベルデザインで知られる渡邉さんは骨董や器、シガー、バー文化などに独自の美学を持った粋な紳士としてつとに有名な方。

渡邉さんのセンスを少しでも吸収したくて青山にあったアンティークとシガーの店「デイリーキャッチ」溜池山王のバー「SWANKY」鎌倉のバー「ザ・バンク」にも足を運びました。

内田さんと同じく70代での他界と惜しくてなりません・・

白金にあった渡邉さんの自宅が「太陽」(平凡社)に載ったときの写真。コルビュジェのソファ、李朝の酒器、ディアンジェリコのギターと全てが完璧な設えに感服。

私はこれから誰を指針にしていけば良いのだろうか?

初妄想

最近あるスナックに良く出かける。

そのスナックは細い路地を入り目立たない場所にある。

私はカウンターの一番隅に座り焼酎のお湯割りを飲むのが常だ。

 

普段は、なおみママ一人で切り盛りしているが時々ママを慕うお姉さんが手伝いに来る。

そのJUJUという名のお姉さんとなおみママは客のリクエストに答えて珠玉の唄を聞かせてくれる。

 

私が好きなのはJUJU姉さんの「つぐない」と「グッバイデイ」である。

儚げな声で歌い上げる来生たかおの名曲「グッバイデイ」はサイコーなのだ。

 

また、なおみママは古い昭和歌謡を歌うのだが、これが艶っぽくてウットリと聞き惚れてしまう。

中でも私がこのスナックに来る度リクエストしてしまう「黄昏のビギン」は絶品である。何度聴いても素晴らしい。

あと「東京の花売り娘」なんかもスローなアレンジでシットリ聞かせてくれる。

 

私もついつい「ママ、おかわり!」と飲み過ぎてしまう。歌に酔い、酒に酔う。

 

このなおみママ、昔は歌謡界で随分活躍したらしいが路地裏で密かにスナックを営んでいると知っているのは私だけだ。

 

あなたにもそっと教えよう、そのスナックへの入り口を・・

ちあきなおみ「すたんだーどなんばー」とJUJU「スナックJUJU」私は酒を飲みながらこの2枚のアルバムを聴くと妄想スナックのカウンターにワープする。

今年も私の妄想は続きます。よろしくお付き合い下さい。

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