小さな庭に大きな甕があって、メダカを何匹か飼っている。
私の家では犬や猫を飼っていないのでメダカが唯一のペットの類だ。
ただメダカの色は黒にこだわるが。
このメダカ、たまにしか餌をあげないが、しっかり生きている。
無精ゆえ滅多に水を替えたりしないが、元気に泳いでいる。
しかも私まで癒してくれる。

いろいろ世話になったKさんが旅立って来月で早一年が経つ。ブルースが大好きだったKさんを偲ぶライブが鴨川のブルース&ジャズ「風雲(かぜくも)」であった。
出演はK.S.Dブルースバンド、スペシャルゲストはKさんが慕っていたブルースハープの第一人者・妹尾隆一郎氏。「風雲」は、その狭い店内ゆえミュージシャンとお客との濃密な空気感が堪能できる店としてつとに有名である。
妹尾氏はコードが変わる度に腰に巻いた革のハープホルダーからハープを抜き取り、大阪弁で曲紹介をしながら私の目の前50cmで次々素晴らしい演奏を繰り広げた。そんな最中、ハイボールのピッチも最高潮。最後はカミサンにキツークたしなめられた。
このライブでちょっと不思議な出来事が。
はじめに店主が挨拶でKさんとの思い出を話し始めた時、いきなり天井の照明がパチパチッと点滅した。誰かが「Kが来てるよ」と言った。それと前列の真ん中の椅子が一つだけ空いているのに誰も座らない。立ち見の客も何人もいたのに最後まで空いたままだった。
誰とも無く分っていたのだ。Kさんの席だって。でもKさんきっと喜んでくれたよね。

あれから10年の歳月が流れた。全世界で400万枚をセールスした「ブエナビスタ・ソシアル・クラブ」。その記念碑的ライブ、映画にもなったカーネギーホールでの2枚組ライブアルバムが最近リリースされた。(なぜ今頃なのかな?)
宝石のような歌姫オマーラが歌う「キサス・キサス・キサス」やライ・クーダーのスチールギターがイケル「誇りを持って」、そしてコンパイ、イブラハム、ルベーンらの何とも味のある曲が再び私を憧れのオールドハバナへ誘ってくれる。
毎晩このアルバムを聞いていると、タイムカプセルに封じ込められていたホンモノの音楽の原石を発掘したルーツハンター、ライ・クーダーの功績をあらためて実感する。

8月の声を聞いたのに天候は相変わらず真夏らしくなくて、グレーの雲が拭い切れないでいる。只、毎夜聞いている音楽はラテンに完全移行。Luis Enriqueの「Ciclos」がこの夏のマイフェイバリット。
南房総ラテン化計画の首謀者、Kaku Moriさんから以前たくさんのCDを頂いた。その中の1枚がこれだった。グロリア・エステファンの「Mi Tierra」は私の夏の愛聴盤だが、Luis Enriqueはさしずめ「男グロリア」という感じだ。
温暖な気候と美味しい魚介・農作物に恵まれ、天災にも殆んど遭遇してきていない南房総人は、あばら骨が一本少ないと形容されるほどにケセラセラ人が多い。故に、このストレスレスエリアにはラテン音楽が似合いすぎるほど似合う。

以前から行って見たいと思っていたお店「タビビトノキ」がギャラリーを併設したと聞いて訪れた。カフェのみの営業の時は日曜日しかオープンしていなかったが今回からギャラリー開催期間中なら平日でも行ける事になった。
古い農家(牛舎)をリノベした空間は、昔懐かしい田園と里山の風景の中にある。丁寧に作られたスパイシーなカレーやコクのあるコーヒーをやはり手間暇かけて改修した店内で堪能した。聞こえるのはセミの声ばかり。(場所は南房総市沓見の東光院の近所です)
オープニングを飾った作品は、山口マオ氏の大作を含め30点余り。個展のテーマは「植物主義」。ここは田園の中のギャラリー。

「DAYS GALLERY」をスタートしたのが11年程前のこと。その時からずっと好きで扱っているのがファイアーキング。カラーは好きなジェイド(ヒスイ色)が殆んどを占める。
マグカップも厚さやハンドルの形で好みが分かれる。左からDハンドルマグ、ヘビーマグ、エキストラヘビーマグ。カフェでハワイコナコーヒー用に使用しているのがDハンドル。自宅で愛用しているヘビーマグ、ずっしりと重いエキストラヘビーは歯ブラシ立てに使っている。
重くなるほどレアなこれらのマグカップはどこに置いても絵になるマイスタンダード。

夏はパナマ帽の出番だ。
強い日差しのこの時期、出かける時は大体この帽子をかぶっている。もちろん波乗りにも、旅行にも。
昨年「cicero」さんに作ってもらったパナマ帽がとても気に入っている。ツバの大きさ、高さ、トップのへこみ具合とか自分の好みにオーダー出来るのが嬉しい。素材も南米エクアドル産の本パナマを使っている。
ある意味、帽子は気合も必要だと思う。特にHATは。似合うと勝手に思ってかぶっていると、その内だんだん馴染んでくるもんです。
老いも若きもパナマかぶって、夏の南房総はパナマ率高いね!って、いつか言われるようになったらいいな。

初夏らしい陽気の中、ちょっと九十九里方面に足を伸ばしてきた。目的は長生郡長生村の2軒のお店。
「洋食屋カレント」では広い庭を眺めながら地場産の食材を使ったランチを楽しんだ。肉も魚もデザートも付いたランチは美味しくてしかも良心的な値段。広々として造り過ぎていない庭も御馳走です。
「Kusa cafe」は今回で3回目の訪問。小さいけれどそれが魅力になっている自家焙煎の有名店。金継ぎしながら使い込んでいるコーヒーカップを始め、横長の窓から覗く風景の切り取り方などひとつひとつに店主の「静かなコダワリ」を感じるカフェ。
帰りの道すがら最近オープンした「patagonia」に寄って見た。店の3分の1くらいをアウトレットのスペースが占めていた。この会社はカンパニーイメージとショップの雰囲気の造り方はサスガに上手い。

日本の古い夏のツールが人気だと言う。浴衣、ステテコ、風鈴、そして扇子や団扇。
特に団扇は南房総の伝統工芸品として有名であるが、小津安二郎監督の「東京物語」にも団扇がいろいろなシーンで頻繁に使われていた。もっとも昭和20年代は扇風機も普及していないが。
私は、笠智衆と東山千榮子が演じる老夫婦が熱海の堤防で帰りの相談をする場面が好きだが、それ以外でも印象深いのは団扇で自分ばかりを扇ぐのではなく、普通に相手を扇いでいるシーンがあった。その相手に涼を送るという行為にちょっと心動かされた覚えがある。

休日なのに朝から大粒のにわか雨、暗い空。
今日はNO SURFかと諦めていたら午後から快晴、しかも南西風だ。千倉へGO!
硬い体にムチ打って柔軟体操をしてからゆっくり時間をかけて沖に歩いて行く。若い時は一気に海に飛び込みパドルアウトしていたが50歳を過ぎてからはなるべく少しずつ身体を海水に慣らせるようにしている。お湯を注いだチキンラーメンのようにジワジワと身体が海に馴染んで調子が出始めるまで30分位かかる。
海水は異常に冷たかったが逆に気持ちが引き締まる。時々クリーンなロング波が入ってくる。平日に顔なじみのメンバーとリラックスした波乗りが出来ることに感謝あるのみ。

