カルティエ・ブレッソン、エドワード・ウェストン、ウォーカー・エバンス、セシル・ビートン、J.H.ラルティーグ、植田正治など好きな写真集をひまがあるとめくっている。なかでもアンドレ・ケルテスは、地味だけれどシンプルで味わい深い作品が多く、特にパリ時代の皿とフォークだけの写真は記憶に深く残像が残っている。

ずっと憧れていた。ヴェニスのハリーズバーに。
15年前にサンドカフェをはじめた時から憧れていたその店を、4年程前初めて訪れることができた。1階がカフェ&バー、2階がレストランになっているその小じんまりとした店は、けれど世界中のハリーズバーファンを魅了してやまない。その秘密は「品質」「シンプル」「微笑み」にあるらしい。
店内は落ち着いた大人の雰囲気が漂っていた。アールデコの香りがするインテリア・調度品、初老のウェイターの物腰、そのすべてが心地良かった。
1日中そこに居たかったが、名物ベリーニを飲み干し店を後にした。短い時間だったが、そのあいだずっと興奮していたのを今でも思い出す。
