BONNSAI

今は亡き親父が油絵に夢中になる前は、盆栽にのめり込んでいた。

私が30代位までだったろうか、実家の裏庭は沢山の盆栽で埋め尽くされていた。

やり始めたらとことん追求する人だったな、込山哲夫は。

今、私の自室にはその頃の盆栽用の小さめの鉢がいくつか飾ってある。そして近い内この鉢に植えようと考えている植物がある。

それは「多肉植物」だ。

雑誌BRUTUSのボタニカル特集にも紹介されていた「Binowee」というプランツショップが千倉にある。波乗りが好きなセンスの良いご夫婦が営まれているステキなお店だ。

その店でこの鉢に合いそうな多肉植物を探すつもりだ。和の盆栽用の鉢にエキゾチックプランツの寄せ植えなんてミスマッチだと思うが、果たしてイメージ通りに仕上がるかな?

私は立派な枝振りの盆栽には興味が無いが、小さめの文人タイプや果樹の盆栽は好きだ。
私は立派な枝振りの盆栽には興味が無いが、小さめの文人タイプや果樹の盆栽は好きだ。

夏の日のサヨナラ

ホスピスに一ヶ月近く入院していた親父は、信じられない気力で二つの望みを叶えた。

一つは、お世話になっている先生や看護師の方々にサンドカフェでカレーとコーヒーを振舞うことだった。もちろん自分も何口か食した。

二つ目は、自宅に帰り最後の展覧会の油絵を選ぶことだった。只、それを理由にどうしても生まれ育った自宅を味わいたかったのだと思う。

どちらも酸素吸入機を付け、車椅子で短時間の外出だったが、あまりハッキリ話すことの出来ない父親は両手で丸のサインを作り満足そうだった。

その日から程なく親父は逝った。本当に「良き人生」を過ごした人だった。

通夜、告別式、納骨と私は喪主としてバタバタと過ごした。

そして誰もがそうである様に、葬儀を終えた私の心はポッカリと風穴が開いた様な空虚さに襲われている。

昔、「サヨナラだけが人生だ」って誰かが言ってた。
昔、「サヨナラだけが人生だ」って誰かが言ってた。

TRUCKの軌跡本

トラックファニチャーの自宅・工房・ショップ・カフェを一つに集約したプロジェクトの9年間にわたる記録の写真集。

若い人はこんな生き方に憧れるだろうな。

自分の価値観に忠実であり、ずっと好きな家具製作を続け、多くの支持者を得て成功者と言われてもそのスタイルを崩さず、平凡な家庭と非凡な仕事をして暮らすその生き方に。

敷地に植える木を自分の眼で確かめに北海道へ行くそのこだわりが潔い。

家具選びにゆっくりと時間をかけて欲しいと開いたカフェも妥協せずトラックの普遍的世界が具現化されている。

私も「BIRD」カフェに行きケンタロー氏直伝のハンバーグやドーナツロボットで作ったドーナツが食べたくなった。

「人生はとっかえっこ」だと先達が言う。何を得て何を失うかだと。トラックの二人はそのバランス感覚に何のブレも無い。

家具製作に日々勤しみ、オフはヌーサで波乗りをするという。そのヌーサへの旅がトラックの二人に大きな刺激を与えたと書かれていた。私もヌーサには再び行ってみたいな。
家具製作に日々勤しみ、オフはヌーサで波乗りをするという。そのヌーサへの旅がトラックの二人に大きな刺激を与えたと書かれていた。私もヌーサには再び行ってみたいな。

ポジャギ

「ポジャギ」とは、朝鮮の古い風呂敷。

薄絹や麻でパッチワークが施されている。

夏の強い日差しに透けたアノニマスな針仕事の痕跡。

私の目を楽しませるだけでなく昼は自室の日よけに、夜は目隠しとして風に揺れている。

夜は障子を開けて網戸で寝るととても涼しい千倉の夏。

ポジャギはチープシックな布のアート。
ポジャギはチープシックな布のアート。

A day in the LIFE

この夏、親父がホスピスに入院した。サンドカフェから車で5分の小さな漁港近くのクリニック。

いろいろな木々が植えられた中庭を囲みホスピスの病棟がある。広いデッキが張られ、風に木々が揺れ、海鳴りも聞こえる。

数日前、病院の方々が小さな花火大会を開いてくれた。

大きなガラス戸を開け、そのままキャンドルが灯されたデッキにベッドが移動できた。他の病室の患者さんもベッドに寝たままデッキに出て花火を楽しんだ。

和気あいあいにスタッフの皆さんが上げてくれる花火を見ていると、急に親父がビールが飲みたいと言った。院長先生に快諾してもらい親父と先生は一番小さな缶ビールで乾杯した。

3ヶ月振りだというビールを一口飲むと親父は「あーッ、ウマイ!」とつぶやいた。

それはビールの味では無く、その夜の気分がそう言わせたに違いない。

忘れえぬ夏の一夜。

町内にこんな環境の良いホスピスがあったことに感謝!
町内にこんな環境の良いホスピスがあったことに感謝!

Borsalino

自分が「ボルサリーノ」を被るとは思っていなかった。

でも、ディフュージョンラインがあったんですね。

しかしこの暑さ。外出する時はいつも被っていますよ。格好だけじゃなく。

もちろんサーフィンに行く時も。

ホント、海の上でも被ろうかと思っていますよ。(ウソです)

歳をとると波待ちしている時の陽射しがきついんです。でもサーフブランドのハットはイヤなので麦わら帽でも被って波乗りします。この夏は。
歳をとると波待ちしている時の陽射しがきついんです。でもサーフブランドのハットはイヤなので麦わら帽でも被って波乗りします。この夏は。

夕暮れの港でモヒートを

久々の千倉サンバフェスティバルがもうすぐです。

8月11日の土曜日、場所も同じ千倉漁港で夕暮れに。

今回は銀座4丁目のバー「ランプ」が出店し、美味しいモヒートやラムベースのカクテルと共にシガーも用意するとの事。また、松戸の有名ラーメン店や千倉のインディーズピザなど飲食の充実はこのフェスティバルのこだわる所。益々楽しみです。

暮れゆく空、潮の香りと熱いサンバのリズム、プロのバーテンダーが作るモヒートそして煙・・・タマリマセン。

アツーイ夜になりそうです。
アツーイ夜になりそうです。

桑田さん

ソロになってからの桑田佳祐に惹かれている。

一年半前のアルバム「music man」がとても気に入っていたが、最近また2枚組の「I LOVE YOU」がリリースされた。

古い曲や「music man」からも何曲か入っての2枚組な訳だが、そんなことはどうでもいい。私にとってお気に入りの曲満載だったから。

「music man」で一番好きな歌は「君にサヨナラを」だった(今回のアルバムにも入っている)。この無常観漂う歌が好きだった。

「I LOVE YOU」では、それ以上に好きな歌が現れた。「愛しい人に捧ぐ歌」だ。この歌で久々に泣けた。

この曲は、あの日大切な人を失った人々に送るエールだと感じた。ガンバレとか元気を出そうとか言わないエール。でも一筋の希望の光が見える。

ポジとネガの交錯というのか。そこがソロになってからの桑田さんが好きな要因なんだろうな。

私の家でも今年は「止まぬ蝉時雨」と「海鳴る音」が良く聞こえる・・・夏はゆく。
私の家でも今年は「止まぬ蝉時雨」と「海鳴る音」が良く聞こえる・・・夏はゆく。

ブタさん、クジラ君

夏らしい暑さ到来。

蚊も多くなった。でも昔より温暖化のせいか蚊が出没する期間が長くなった気がする。台風と同じだ。

このブタさんはサーフィン仲間で陶芸家のサトルさんに作ってもらった。だから耳がフィンの形をしている。ちなみにメガネは私が遊びました。伊達なので勉強のし過ぎではありません。(笑)

庭の木の枝にはクジラ君が泳いでいる。鋳物製のクジラ君は時々「リンリン」とイイ音で鳴いている。日陰で涼しいことだろう。

この夏はブタさんとクジラ君に活躍してもらおう。

キンチョウ蚊取り線香のCMが日本の夏の象徴だったのは一昔前。電子蚊取りやスプレータイプが主流になったが我が家は両刀使い。
キンチョウ蚊取り線香のCMが日本の夏の象徴だったのは一昔前。電子蚊取りやスプレータイプが主流になったが我が家は両刀使い。
ブタさんとクジラ君は少しですがカフェ隣の海雑貨のお店「デッキシューズ」に置いてあります。興味のある方はのぞいて見て下さい。
ブタさんとクジラ君は少しですがカフェ隣の海雑貨のお店「デッキシューズ」に置いてあります。興味のある方はのぞいて見て下さい。

ブラックマジックタイム

夏休みに末娘が東京の友達を連れてくるというので2階を片付けた。ちょっとした大掃除だ。

片付けなんてしてみるもんです。しばらく開けていなかった棚から懐かしいCDがいろいろ出てきた。ボブ・マーレーだ。ボーイミーツガールだ。サンタナだ。

このサンタナの2枚は私が高校生の時の愛聴盤(当時はレコード)だった。ああ懐かしい。

左のアルバム「アブラクサス」はサンタナの代表曲「ブラックマジックウーマン」が入っている。

あの頃私はサイフォンでコーヒーを淹れ、きついタバコを吸いながら良くこのアルバムを聴いたものだった。特に「君に捧げるサンバ」が好きだったなあ。久々に聴いてもいいなあ・・・今日はドリップで落としたコーヒーを飲みながらだ。

そして夕暮れ時。今度は酒を飲みながら「キャラバンサライ」を聴いた。もちろんシガーを吸いながら。

幸い家人が買い物に出かけていたので家には私一人だ。気兼ねなく大音量でこのアルバムを聴いた。前にも書いたが、私は良い天気の日の夕方は真っ暗になるまで部屋の灯りを点けない。

なぜなら宵から闇に変わってゆく空色の変化を楽しみたいから。これは是非お薦めしますよ。

虫の鳴き声で始まるこの「キャラバンサライ」。闇で聴くと砂漠にトリップしてしまう。あの頃のように・・・

久々に音楽でSTOKEした。
久々に音楽でSTOKEした。

Mr.Freedom

なぜサーフィンをするのか?と聞かれたら「自由になるために」と答える。例えそれが刹那であっても・・・

日頃、我々は他人と比較したり、他人の目を気にしながら暮らしているがミスターフリーダムと呼ぶに相応しい生き方の人がいた。カリフォルニアのサーファー、ブライアン・ベントだ。

彼はホットロッドに自作のウッドのサーフボード、いやサーフボートを乗せサンオノフレのビーチに乗りつける。そしてキャプテン帽にウールのセーターと半ズボンでサーフする。ウェットスーツは着ないらしい!

牧師でありアーチストである彼は、陸でも海でもその独創性で一目瞭然。着ているTシャツも自分でペイントする。彼の100%オリジナルな生き方、「唯一無二」なスタイルが私を惹きつける。

漠然とした絞めつけや拘束感が漂うこの社会で、ブライアン・ベントの存在が私をサーフィンの世界に留めてくれている。

蔦屋書店で見つけたブライアンが表紙のイギリスの雑誌「men's file」。イギリス版フリー&イージーと言ったところ。
蔦屋書店で見つけたブライアンが表紙のイギリスの雑誌「men’s file」。イギリス版フリー&イージーと言ったところ。
ショートボードがどうの、ロングがどうのといったところを超越しているこのカッコよさ!
ショートボードがどうの、ロングがどうのといったところを超越しているこのカッコよさ!

Floating Hotel

ある人々は、ルイヴィトンやゴヤールの大きなトランクをいくつも持ち込み長い船旅を優雅に過ごした。

また、ある人々は移民として故郷を捨て遠い異国の地を目指した。トランク一つで船底の大部屋にギュウギュウ詰めになりながら。

私は、そんな大型客船全盛時代に思いを馳せ、この客船をオーダーした。どこに置くかも決めず、値段交渉もせずに。

そしてひと月強を費やし完成したこのフローティングホテルはカフェのカウンターに停泊している。

全長80センチ。ゆったりとした時間を内包しているこの客船は、私が旨い酒を飲むためのイマジネーションツールでもある。

ただこれを見たカミさんが一言「あなたの物欲はこれからもずっと続くわけ?」と。もちろん返答出来なかったが。
ただこれを見たカミさんが一言「あなたの物欲はこれからもずっと続くわけ?」と。もちろん返答出来なかったが。

HOME OR HOUSE

空き地にある日、家が建つ。

植栽も垣根も塀も無い家。しかし建物(HOUSE)は今風のハウスメーカーのものらしくオール電化とか家の中はきれいで便利な筈。

だが私はちょっと違和感を感じてしまう。

そうパブリックの感覚が感じられないのだ。

経済性や便利さはあるのだろうが風景を意識していないのだ。土地に家が乗っかっているとゆうのだろうか?

植栽って自分も楽しめるし、そこを通る人や近所に住む人達も意識しての風景を造るという感性の筈。

その所を含めてのHOMEだと思うのだが。ワタシダケ?

梅雨の時期にも眼を楽しませてくれるノウゼンカズラや夾竹桃、ランタナ。
梅雨の時期にも眼を楽しませてくれるノウゼンカズラや夾竹桃、ランタナ。

散歩自転車で

小学校への通学路、駄菓子屋のあった海へと下りていく路地、幼なじみと道草しながら帰った小道。

散歩自転車でそんな懐かしい場所をのんびり走るのが最近好きだ。

車で通るにはちょっと無理な小道を風の匂いを感じながら走るのが心地良い、今日この頃。

やっぱり帰り道では近所のカフェや本屋で道草をしてしまう(笑)。
やっぱり帰り道では近所のカフェや本屋で道草をしてしまう(笑)。

クラブチェア

我が家のリビングにやってきたフレンチクラブチェア。

長年憧れていたこのソファー。なぜ、クラブチェアって言うのだろう?

かつて紳士たちが集ったジェントルマンズクラブに置かれていたソファーが、このタイプの物が主流だったからだろうか?

かなり年季が入りあちこち革が破れてはいるが、そのテクスチャーもスタイルも気に入っている

同じくフランスの古いJieldeのフロアライトと合わせて。
同じくフランスの古いJieldeのフロアライトと合わせて。

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